
1. 総則
21世紀初頭には、世界に類を見ない超高齢化社会を迎えることは事実である。そのためにも、高齢者並びに移動障害者が、豊かで潤いのある社会の一員として過ごすためには、海洋性レクリエーション施設であるマリーナや海水浴場のバリアフリー化を推進しなければならないであろう。
ここに提案する指針案は、高齢者および移動障害者が社会の構成員として自由闊達に参加できる環境を整備することを基本理念としている。そのためには、安全性、保健性、快適性を考慮した施設のあり方を検討することとしている。換言するならば、海洋性レクリエーション施設のノーマライゼーション、あるいはユニバーサル化を目指すものである。
なお、人にやさしい海岸施設(マリーナ・海水浴場)のガイドライン(指針)をまとめるにあたっては、マリーナと海水浴場に共通するアクセスおよび利便施設に関しては、特別な場合を除いては包括的にまとめることとする。また、立地特性や機能特性が明らかに異なると思われる海洋性レクリエーション機能については、別途、区別して扱うものとする。また、指針案では、高齢者および移動障害者を対象とする。移動障害者は、主に車椅子使用者、杖使用者、視覚障害者である。
海岸施設の計画に当たっては、将来の高齢化社会並びに少子化社会を考慮して、誰もが安全に、しかも快適に過ごせるユニバーサル・デザインを考慮したものでなくてはならない。特に、海洋性レクリエーションの拠点施設であるマリーナ、海水浴場、海釣り桟橋、港湾緑地及び海岸に隣接するキャンプ場などの整備に当たっては、運動機能の低下した人々、あるいは運動機能補完機器(車椅子や杖などを用いる)を使用する人々を考慮した敷地の施設配置、施設機能を行わなければならない。また、施設計画に当たっては、人間の基本的人権と生理機能を十分考慮しなければならない。さらに、このようなユニバーサル社会の実現にのためには、単に海岸施設の整備に止まらず、バリアフリーを考慮した公共交通機関や施設の整備を図り、そして豊かで、安全で、快適に過ごすことができる総合的な社会システムを構築しなければならない。
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